離婚調停を申し立てられた(調停期日通知書が送られてきた)方へ

「ある日突然、家庭裁判所から調停期日の通知書(呼出状)が送られてきた」

困惑してご相談に来られる方がたくさんいらっしゃいます。

離婚調停を正式には「夫婦関係調整調停」というので、調停の呼出状には「夫婦関係調整調停(離婚)」と書かれているケースが多数です。

調停は話し合いで解決する手続きであり、訴訟ではありません。厳密な法律論を戦わせたり証拠によって証明したりする場所ではないので、落ち着いて対応していきましょう。

今回は離婚調停を申し立てられたときの対処方法を弁護士がお伝えします。

1.離婚調停は話し合いで解決する手続き

家庭裁判所から調停の呼出状が届いたら、「相手が争ってきた。これから大きなトラブルになる」ととらえてかまえてしまう方が少なくありません。

しかし調停は争う場所ではありません。お互いに話し合って妥協点を見つけるための手続きで、裁判とは大きく異なります。離婚調停を申し立てられたからといって争いが始まるわけではないので、安心しましょう。

離婚調停は、当事者が自分たちで話し合えないときに、裁判所の調停委員会が間に入って話し合いの支援をしてくれる制度です。調停を申し立てられたということは、「相手は話し合いを望んでいる」という意味です。

2.呼出状を無視してはならない

離婚調停の期日通知書(呼出状)が届くと、「行きたくない」「予定がある」「面倒くさい」などの事情で無視してしまう方もおられます。

しかし裁判所からの呼出状を無視すると以下のようなリスクが発生します。

2-1.過料の制裁

離婚調停を正当な事由なく欠席すると5万円以下の「過料」という制裁が適用されて、後に金銭の納付を命じられる可能性があります。

2-2.後に出席したときに不利になる

離婚調停が始まると、当初の1、2回は欠席しても、結局は出席することになるケースも少なくありません。
当初に連続して無断欠席すると調停委員に与える印象が悪くなってしまい、出席したときに不利になる可能性があります。自分が欠席している間に、相手方が、調停委員との信頼関係を構築していても、出席の機会を放棄したのは自分ですから、仕方ありません。このような信頼関係の差が、当事者の主張の通りやすさとなって、結果に反映されてしまうことは避けるべきです。

2-3.離婚訴訟を起こされてしまう

調停に連続して欠席すると、「成立の可能性がない」と判断されて調停が不成立になってしまいます。
すると相手からは「離婚訴訟」を申し立てられるでしょう。訴訟は調停と違い、お互いが法律論を戦わせて争う場です。話し合いよりも難しく、時間も労力も費用もかかります。
調停を無視すると、話し合いで解決するチャンスを失ってしまうデメリットがあります。

2-4.婚姻費用の支払い命令が出る可能性もある

離婚調停を申し立てられたとき、婚姻費用分担調停も同時に申し立てられるケースがよくあります。
婚姻費用分担調停を無視していると、審判に移行して審判官が一方的に婚姻費用の支払い命令を出してしまいます。
収入についての資料を提出しなければ、平均賃金を参照されて実収入より高い基準の支払いを命じられる可能性もあります。

以上のように離婚調停の呼び出しを無視すると多大なリスクが発生するので、絶対に無視してはなりません。

3.都合が悪い時の対処方法

呼出状に記載された日時の都合が悪いときには、すぐに家庭裁判所へ連絡を入れましょう。
事情を伝えて「当日は出頭できない」といえば、別の日にちを設定してもらえます。
1回目の期日変更ができなければ、1回目は申立人のみ出席して2回目から実質的な話し合いをする予定を組んでもらえるなど、柔軟な対応もしてもらえます。

きちんと連絡した上での欠席であれば不利益を受ける可能性はありません。

4.離婚調停の呼出状を受け取ったときの対処方法

家庭裁判所から離婚調停の呼出状を受け取ったら、以下のように対応してみてください。

4-1.担当部署や裁判所の場所、調停の日時を確認

まずは呼出状に書かれている家庭裁判所名、担当部署、連絡先の電話番号を確認しましょう。
日時変更の希望などの連絡は、呼出状に記載されている担当部署宛に入れなければなりません。
家庭裁判所の場所や調停が行われる日時もチェックして、スケジュールに組み込んでおいてください。

4-2.申立内容を確認

申立人による申立内容も確認すべきです。
相手の言い分が自分の認識や希望する内容と異なる場合には、調停の席で述べなければなりません。
調停を有利に進めるには、相手がどのようなことを言っているのか、どういった離婚条件を希望しているのか知って準備しておく必要があります。

4-3.相手に弁護士がついているか確認

離婚調停の申立書の「代理人」の欄に弁護士名が書いてあれば、相手に弁護士がついているということです。相手が弁護士をつけている場合、こちらも弁護士をつけないと不利になる可能性が高くなります。
また弁護士が申立書を作成した場合、本人が作成するよりも詳細な内容となっているケースが多数です。
内容をよくみて、納得できない箇所を確認しておくと、自分が弁護士に相談に行くときに、状況や希望する内容を伝えやすくなります。

4-4.反論を準備する

離婚調停でも、相手に対する反論書を提出できます。書面で提出せず、期日において口頭で反論する方法もあります。
相手の申立内容に納得できない場合や事実と異なる点については、書面で反論を用意しましょう。
期日に口頭で反論したい場合も、事前に言いたいことをメモして持っていくようおすすめします。そうでないと、当日いきなり初対面の調停委員に話そうとしても、緊張したり度忘れしたりしてうまくいかないケースが多いからです。

5.離婚調停を弁護士に依頼すべき状況

離婚調停を申し立てられたとき、以下のような状況であれば弁護士に依頼するようおすすめします。

5-1.財産分与の争いがある

財産分与について争いがある場合には、弁護士に依頼した方が有利になるケースが多数です。

  • 財産関係が複雑で、相手が財産を隠しているとき
  • 財産の評価方法について争いがあるとき
  • 財産が多種多様で、自分ではどのように分けるのが適切か判断できないとき
  • 相手が財産分与の割合や方法について、納得できない条件を提示しているとき

自分で適当に対応すると不利になる可能性が高いので、必ず弁護士へ依頼しましょう。

5-2.不倫の有無について争いがある

不倫していないのに相手から「不倫している」といわれて慰謝料を求められている場合、相手が不倫しているのに「不倫していない」と否定される場合などにも弁護士に依頼すべきです。

法律上、不倫(不貞)していたら、慰謝料を払わねばなりません。
しかし相手が不倫を否定しているなら、自ら慰謝料を払わないでしょう。
証拠を用意して認めさせる必要がありますし、話し合いで解決できなければ訴訟になる可能性もあります。

調停の段階から適切に対応しておかないと不利になる可能性があるので、早めに弁護士を立てて慎重に手続きを進めるべきです。

5-3.親権争いが生じている

親権争いがある場合にも、早めに弁護士をつけるようおすすめします。
離婚後、親権者になれるのは母か父のどちらか一方のみなので、どちらも親権を希望すると、調停で離婚はできません。

また親権争いが発生すると調停手続き内で調査が行われたり、調停委員が一方当事者へ親権を譲るよう説得したりするケースも多々あります。
早めに弁護士をつけて対応しておかないと、不利になる可能性が高まるので、親権を獲得したいなら弁護士に依頼する必要性が高くなります。

5-4.相手が弁護士をつけている

申立人が弁護士を立てているなら、こちらも弁護士を立てるよう強くおすすめします。
確かに調停は話し合いの手続きなので、弁護士は必須ではありません。
しかし相手にだけ弁護士がついていると、調停でもこちらが圧倒的に不利になってしまうおそれが高くなります。

こちらに弁護士がついていると調停委員を説得できる可能性が高くなります。弁護士は財産分与の計算や不倫の証拠集め、各種の反論方法などにも長けています。

申立書を見て、相手の代理人の欄に弁護士名があれば、第1回期日の前に弁護士に相談に行って依頼するのが得策です。

5-5.1人で調停に臨むのが不安

離婚調停に1人で臨むのが不安なら、早めに弁護士へ依頼しましょう。
特に口下手で自分ではうまく希望を伝えられない方、調停委員から強くいわれると遠慮してしまう方、相手が強硬でどうしても押し切られてしまう方などは、1人で調停に臨むと不利になる可能性が高くなります。

弁護士に依頼すれば、弁護士が代わりに調停委員に意見を伝えられますし、相手が強硬でも無茶な主張は通さないので不利になる心配はありません。

茨城県、つくばエクスプレス沿線エリアで離婚調停の呼出状が届いて困惑されている方がおられましたら、お気軽にDUONの弁護士へご相談ください。

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