養育費は払われなくなるものと思え?
前回、養育費の履行確保の方法について説明しました。
今回も養育費を払わせる方法についてお話したいと思います。
一括で払わせる
前回書いたことの方法の他に、履行確保についていい方法があります。
それは、はじめに一括払いさせることです。なんだそんなことかと思われるかもしれませんが、算定表が月々の支払い額基準で書いてあるからなのか、意外と一括で払わせる方法があるということを知らない方もいます。
但し、一括払いなので、子供が二十歳になるまでの全額とかは、無理だと思ってください。はじめにある程度まとまったお金をもらって、後は残額を月々もらうという方法もあります。
一括でもらえるというメリットがあるので、多少金額は調整する必要があります。でも、支払ってもらないかもとかいう月々の心配がなくなるので、その分メリットがあります。
但し、これは話し合いで養育費を決める場合にだけ可能なやり方だと思ってください。
裁判所から支払いを「勧告」または「命令」してもらう
あとは、調停で養育費を定めるというやり方があります。調停で養育費を決めておけば、不払いのときに裁判所に電話して、裁判所から履行勧告をしてもらうことができます。
しかし、これは何か制裁がある訳ではないので、相手がそれでも払わないとなるとそれまでです。
それで次の段階にいきます。次の段階は、履行命令です。調停した裁判所に履行命令の申立てをします。
但し、これも何か強制力がある訳ではありません。
養育費は払われなくなるものと思え?
最後は、やはり前回のコラムでお話しした強制執行です。
わざわざ調停で養育費を定めることのメリットは、公正証書を作成しなくても、強制力のある債務名義(調停調書)を入手できるので、強制執行をできることです。
履行勧告・履行命令は、お話ししたとおり強制力がないので、公権力から話をされて焦るタイプの相手でないとあまり意味がありません(債務名義を手に入れるだけならば、公正証書で十分です)。
養育費を定めても不払いになるケースの方が多いといわれています。なので、女性の方が離婚する場合、生活設計をするにあたっては養育費をあまり当てにしてはダメなのですが、その一方で、養育費が払われないからといって、すぐにあきらめていい訳でないことはもちろんです。
個人的には、養育費の支払いについては、公正証書を作るとき等が大事だと思っています。結局は、養育費は親のつとめです。そこを理解させることは最低限必要です。
そして、公正証書を作ったことに意味を説明し、心理的な圧力をかけたり、こちらから相手に対して、いろいろ働きかけることは大切です。