子どもの親権を決める流れと親権を獲得するための対処方法

離婚の際、子どもの親権はどのような方法で決めればよいのでしょうか?
特に夫婦双方が親権を希望する場合にはスムーズに決まりにくく「親権トラブル」が起こりやすいので注意が必要です。

今回は子どもの親権を決定するまでの流れや親権を獲得するための対処方法を弁護士の視点から解説しますので、「離婚後、どうしても親権を取得したい方」はぜひ参考にしてみてください。

STEP1 当事者同士で話し合う

親権者を決めるとき、まずは夫婦が自分たちで話し合うのが基本です。
話し合って合意できれば、円満に離婚と親権の問題を解決できます。

協議で親権者が決まったら、離婚届の用紙に親権者となる親の名前を書き込み、双方が署名押印して役所へ提出しましょう。
離婚届が受理されたら正式に離婚が成立し、戸籍においても「離婚届に記載された親」を「親権者」と表記してもらえるようになります。

勝手に離婚届を出されないために

親権争いが発生すると、相手が勝手に離婚届に親権者を記入して役所へ提出してしまうケースが少なくありません。そうなると役所は離婚届を受理してしまい、戸籍上相手が親権者になってしまう可能性があります。偽造の離婚届は無効ですが、無効であることを確認するために調停や訴訟を行わねばなりません。大変な労力と時間がかかってしまうでしょう。

相手による偽造の離婚届提出を避けるため、事前に役所で「離婚届不受理申出」をしておくようお勧めします。離婚届不受理申出をしておけば、申出人の意思確認できない限り、役所は離婚届を受理しません。

親権争いが起こりそうな気配があるなら、早めに身分証明書や印鑑をもって役所の市民課や戸籍課へ行き「離婚届不受理申出」の書類を提出しておきましょう。

母親が親権者となる場合の注意点

親権者になっても、必ずしも親と子どもの戸籍や姓(名字)が一致するわけではないので注意が必要です。たとえば母親が婚姻時に父親の戸籍に入った場合、母親が離婚して父親の戸籍から抜けても、子どもは父親の戸籍に残ったままになります。母親が旧姓に戻っても、子どもの姓は父親と同じになり、母親と異なる名字になってしまいます。

母親が親権者となったときに子どもの戸籍や姓を自分のものと同じに揃えたかったら、家庭裁判所で「子の氏の変更許可申立」をしなければなりません。

子の氏の変更許可が認められたら、審判書を役所へ持参しましょう。それにより、子どもの戸籍や姓を母親のものと揃えてもらえます。

STEP2 離婚調停で話し合う

相手との直接の話し合いでは親権者を決められないなら、家庭裁判所で「離婚調停」を申し立てましょう。

離婚調停が始まると、調停委員が間に入って当事者間の意見を調整してくれます。
それだけではなく、親権に関する対立があると「調査官調査」が行われるのが一般的です。調査官調査とは、家庭裁判所の調査官が子どもの状態や環境、これまでの養育状況などを総合的に調べる手続きです。
たとえば以下のような方法で調査が実施されます。

  • 両親からの聞き取り
  • 家庭訪問
  • 学校や幼稚園への訪問、先生との面談
  • 別居親との面会場面を観察(家庭裁判所内の専用スペースにて行われます)
  • これまでの養育に関する資料の提出を受けて内容の精査

調査官調査の結果は裁判所へ報告され、その内容をみてさらに話し合いを継続します。

調停が成立したら親権者が決まって離婚できる

調停段階で、親権やその他の離婚条件が決まれば調停が成立します。この場合、調停成立後2、3日で家庭裁判所から調停調書が送られてくるので、役所へ持参して離婚届を提出しましょう。そうすれば親権者を定めて離婚できます。
ただし離婚届は「調停成立後10日以内」に提出しなければなりません。提出する側になった場合には早めに役所へ持参して離婚の届出をしましょう。

調停が不成立になると親権者は決まらない

離婚調停はあくまで話し合いの手続きであり、当事者へ結論の強制はできません。
調査官調査の結果、どちらかの親が親権者として妥当であると考えられる状況でも、相手が納得しなければ成立させられないのです。
調停委員が説得したりして当事者の合意を目指しますが、どうしても合意できない場合には不成立になってしまいます。その場合、親権者は決まらず離婚もできません。

親権者指定調停について

離婚調停に付随して「親権者指定調停」を申し立てることも可能です。
親権者指定調停とは、夫婦のどちらを親権者にすべきか裁判所に決めてもらうための調停です。
話し合いで合意できない場合には審判になり、裁判所が親権者を決定するケースもあります。ただし審判に対しては不服申立てができるので、当事者が納得しなければ最終解決になりません。

結局、離婚調停のみで話し合っても親権者指定調停を付随的に申し立ててもほとんど同じ結果となるので、わざわざ申し立てる意味はあまりないとも考えられます。

STEP3 離婚訴訟で裁判所に指定してもらう

離婚調停が不成立となった場合には(親権者指定審判に不服申立があった場合も含む)、親権も決まらず離婚もできません。
親権者を決めるには、家庭裁判所で離婚訴訟を申し立てる必要があります。

離婚訴訟は調停と異なり、話し合いの手続きではありません。裁判官が提出資料や調査官調査の結果をみて、親権者として適切と判断する親を親権者として指定します。
親権者指定審判とは異なり、当事者が異議申し立てする方法もありません。判決が確定したら、確実に親権者が決まります。

離婚訴訟で親権を獲得するには、裁判所の親権者判断基準を理解して、なるべく親権者として有利にはたらく条件を整えなければなりません。

調査官調査の重要性

離婚訴訟で親権を獲得したいなら、調査官調査の重要性を理解しておく必要があります。
離婚調停の段階で調査が行われなかった場合はもちろん、離婚調停でいったん調査が行われていても、訴訟段階になるとあらためて調査が実施されるのが一般的です。

調査官調査が終了すると、調査官が「どちらの親を親権者とするのが妥当と考えられるか」意見を付した調査報告書を裁判所へ提出します。裁判所は、ここに書かれている調査官の意見に従う例がほとんどです。親権を獲得したいなら、調査官に良い印象を持ってもらうことが必須といえるでしょう。

親権を取得したいとき、調査官調査への対応ポイント

調査官調査では、以下のようなことに気をつけてください。

調査に協力的な姿勢をみせる

調査官調査が行われるときには、家庭裁判所へ呼び出されて調査官との面談を実施する例が多数です。このとき、「忙しい」「日程が合わない」などといって非協力的な姿勢をみせると印象が悪くなってしまいます。
時間に遅れた場合にも悪印象を与えるので、きちんと時間を守って家庭裁判所へ出頭しましょう。

マナーや態度は丁寧に

調査官と話すときのマナーや態度にも注意すべきです。
子どもの親権問題が起こるとどうしても感情的になってしまい、調査官に対して声を荒げたり怒鳴ったりしてしまう方も少なくありません。しかし感情的になっても良い印象をもってもらえるわけではないので、冷静に対応しましょう。調査官調査の際の服装は常識的な格好をして、挨拶などの基本的なマナーも守ってください。

育児に関わってきた資料を積極的に提出

これまであなたが育児に関わってきたことがわかる資料を積極的に提出しましょう。調査官に実情をわかってもらうには、当事者による丁寧な説明と資料が必須です。
どういったものが必要かわからない場合には弁護士に相談してみてください。

子どもへの愛情やこれまでやってきたことを積極的に表現する

これまで育児に携わってきた経緯や自分が日頃どのような対応をしているのか、子どもへかける愛情や今後の養育方針など、調査官へ積極的に表現しましょう。
話すのが不得意な方は、面談前にメモを作るなど資料化しておくようお勧めします。
弁護士がついていれば弁護士も面会場面に同席し、助言できます。不安な方はぜひ相談してみてください。

訴訟の判決で親権者が決まったら、判決書と確定証明書を役所に持参すれば親権者を定めて離婚できます。

親権者争いが生じたらDUONまでご相談ください

離婚時、両親のどちらが親権者となるかで子どもの人生が大きく変わるケースが多々あります。相手に親権を渡したくないなら、当初の段階から適切な対応をとらねばなりません。
自己判断で動く前に専門家によるアドバイスを受けましょう。

DUONではこれまで、離婚に悩む多数の方々をサポートし続けて参りました。親権争いを解決したケースも枚挙にいとまがありません。茨城県周辺エリアで親権をとれるかどうか不安を抱えている方は、お早めにご相談ください。

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