離婚したくないのに離婚調停を申し立てられてしまった場合の対処方法

「離婚したくないのに離婚調停を申し立てられてしまいました。もう離婚するしかないのでしょうか?」

といったご相談をいただくケースがあります。

結論的に、離婚調停を申し立てられたからといって離婚させられるわけではありません。
しかし調停で適切な対応をとらないと、将来的に離婚につながってしまう可能性はあります。

この記事では離婚したくないのに離婚調停を申し立てられてしまった場合の対処方法を弁護士がお伝えします。配偶者から離婚調停を申し立てられて困惑している方はぜひ参考にしてみてください。

1.離婚調停では離婚を拒否していたら離婚が成立しない

離婚調停を申し立てられて家庭裁判所から呼出状が届いたら「もうこれで離婚させられてしまうに違いない」と思ってしまう方が少なくありません。

しかし離婚調停はあくまで「当事者が話し合って合意することによって解決する手続き」です。どちらかが離婚に合意しなければ、離婚は成立しません。
離婚調停を申し立てられても、こちらが離婚に合意しない限り離婚させられることはありえないのです。
たとえ離婚調停を無視していても、調停が不成立になるだけで離婚にはなりません。

「離婚調停ではこちらが離婚に合意しない限り離婚が成立しない」という基本をまずは押さえておきましょう。

2.調停が不成立になったら離婚訴訟をされる可能性がある

離婚調停で申立人が離婚を希望し、相手方が離婚を拒否していると話は平行線です。
その場合、いずれかのタイミングで離婚調停は不成立になってしまいます。
離婚調停が不成立になると、調停は終了します。

それだけで終われば離婚にはなりませんが、多くの場合申立人は引き続いて「離婚訴訟」を検討します。

離婚訴訟とは

離婚訴訟とは、離婚を希望する当事者が裁判所へ離婚を申し立てて、裁判官が離婚原因の有無を判断し、離婚原因がある場合に離婚を認める手続きです。
離婚訴訟を申し立てられると、裁判所で離婚原因の有無が判断されます。その結果、離婚原因があるとなれば判決で離婚が認められます。訴訟では「離婚原因があるかないか」が重要で、当事者の合意は必要ありません。訴えられた被告が離婚を拒否していても、原告が離婚原因を立証すれば離婚が認められてしまうのです。

離婚調停を不成立にしても、引き続いて離婚訴訟を申し立てられて訴訟で離婚が認められれば、離婚させられてしまいます。

訴訟を防ぐためには、できる限り調停を穏便な形で終わらせることが重要です。
ただし相手が離婚原因もないのに身勝手で離婚を主張している場合などには、離婚訴訟をさほど意識する必要はないでしょう。

では離婚訴訟をなるべく穏便な形で終わらせるにはどうすれば良いのでしょうか?
以下では離婚調停で離婚を避けるための対処方法をいくつかご提案します。

3.相手を責めない

離婚調停で意に反して離婚を申し立てられると、思わず相手を責めてしまう方が少なくありません。

  • そもそも相手が悪い
  • こちらには何も非がないのになぜ離婚を申し立てられるのか?
  • 相手は不倫している
  • 相手から暴力を振るわれたこともある
  • 相手は家事育児に協力しなかった、頑張ってきたのは自分の方である
  • 子どもを抱えていて今離婚されると困る、相手はあまりに身勝手だ

しかしこのように相手を責める言動をとるのは逆効果です。調停委員から「そんなに婚姻生活が辛いなら離婚してはどうか?」と勧められる可能性が高まってしまいます。
また相手の態度も硬化して離婚したい気持ちが固まってしまうでしょう。

離婚したくないなら、相手を責めるのはNGです。

4.離婚したい理由を聞く

離婚したくないなら、まずは相手がなぜ離婚したいのか、理由を聞きましょう。
理由により、こちらのとるべき対処方法も異なってきます。
日頃の生活態度でこちらにも問題があったのなら、改善の余地があるでしょう。
「気に入らないところを直すので戻ってきてほしい」と伝えることができます。

一方、相手が不倫していて不倫相手と婚姻したいので離婚を希望しているケースもあります。そんな場合にはこちらがどのような条件を提示しても戻ってこない可能性が高いでしょう。
ただし相手が不倫している場合には相手から離婚訴訟を申し立てても離婚は認められません。訴訟を見据えて、相手の不倫の証拠(不倫相手との肉体関係を証明する証拠)を集めると良いでしょう。

5.今後の生活について、目指す家族像を伝える

相手が離婚を希望する場合、相手は家族の将来を描けなくなってしまっているものです。
そうであれば、こちらで家族の目指す姿を考えて相手に伝えましょう。
ただし独りよがりの想像になっては意味がありません。
相手の立場に立って現在の夫婦関係も踏まえて、現実的な将来像を描きましょう。
子どもがいる場合には、子どもの教育方針や将来像、子どもの希望、それを実現するには夫婦の協力が必要なことなどを伝えると良いでしょう。

6.調停委員を味方につける

離婚調停を有利に進めるには、調停委員に肩入れしてもらうことが有効です。

調停委員は夫婦双方から聞き取りを行って話の進め方を決め、いわば調停の舵取りをする役割を果たします。調停委員が夫婦に結論を強制することはできませんが、調停委員に肩入れしてもらえれば相手を強く説得してもらえます。反対に、相手に肩入れされてしまうとこちらの意見が通りにくくなってしまうでしょう。
よって「話し合いの手続き」である離婚調停であっても調停委員を味方に引き入れることは重要となってくるのです。

調停委員に共感してもらうために

調停委員に「離婚したくない」という思いに共感してもらうには、どのような言動を取れば良いのでしょうか?

  • 離婚しない方が良いと思える事情
  • 夫婦関係を修復できそうな事情
  • 離婚になったらあまりに気の毒と思われるような事情

基本的には上記のようなことを伝えると良いでしょう。

7.離婚したくないという気持ちの強さを伝える

離婚調停で「離婚した方が良いのではないか?」などと説得されないためには、「絶対に離婚しない」という強い気持ちを伝えるべきです。
初回から「離婚しない」と固い決意を述べている当事者に対しては、調停委員も通常あまり強く離婚を勧められないからです。
「場合によっては離婚してもかまわない」という態度をとると、調停委員から離婚を勧められる可能性が高まるのでそういった言動はしないよう注意しましょう。

8.離婚訴訟を見据えた対応をする

離婚調停では、離婚訴訟を見据えた対応をすることが重要です。

8-1.離婚訴訟で離婚が認められる可能性が高い場合

相手の主張が適切で離婚原因があって離婚訴訟をされれば離婚が認められそうな場合、離婚調停で「離婚したくない」とねばってもあまり意味がない可能性があります。離婚訴訟で離婚が認められるくらいなら、早期に離婚調停で離婚に応じてしまった方が良い可能性があるためです。
離婚訴訟になると、調停で離婚するより離婚条件が悪化してしまうケースもあります。
時間や労力、費用、精神的な負担などを考えても、離婚調停で離婚に応じた方が賢いといえるでしょう。

【裁判上の離婚原因5つ】

以下のような事情があると、訴訟で離婚が認められる可能性が高いといえます。

  • 不貞
  • 悪意の遺棄
  • 3年以上の生死不明
  • 回復しがたい精神病
  • その他婚姻関係を継続し難い重大な事由

具体的には以下のような場合、訴訟で離婚が認められる可能性があります。

  • こちらが不倫している
  • こちらが暴力を振るった
  • 相手に生活費を渡さなかった
  • こちらが家出をした、同居を拒否した
  • 長期にわたって別居状態が続いている

ただしどのようなタイミングでどういった条件で調停離婚に応じるのかなどは、別途検討する必要があります。迷ったときには弁護士へ相談しましょう。

8-2.離婚訴訟で離婚が認められる可能性が低い場合

離婚訴訟をされても離婚が認められる可能性が低い場合には、あえて調停で離婚を成立させる必要がありません。
ひたすら離婚を拒絶していても良いでしょう。

ただし単に離婚を拒絶し続けて離婚調停を不成立にしても、不仲になった夫婦関係を修復できるわけではありません。たとえば相手が家出している場合、離婚調停が不成立になったからといって戻ってくるわけでもありません。
修復方法については「離婚するかしないか」から一歩進んであらためて検討しなければならないでしょう。

9.離婚したくないときの提案方法

相手が離婚を希望していてこちらが離婚したくない場合、こちらから積極的に「夫婦関係を修復するための提案」をしましょう。
たとえば相手と同居しているなら、これまでの生活態度をあらためて改善する点を書き出し、相手に伝えるなどです。
相手が家出して別居しているなら、別居を解消して戻ってきもらうためにこちらが守るべき事項を伝えます。相手がすぐには戻ってこられそうない場合、しばらくは別居状態のまま交流を続け、段階的に別居解消へ向けて進めるのも選択肢の1つです。

10.弁護士に相談する

一般的に弁護士というと「離婚させる職業」のように思われていて、修復に向けてサポートする能力はあまりないと思われているケースも少なくありません。
しかし弁護士は離婚調停における修復のサポートも行います。
弁護士は日頃から多数の離婚や男女関係の相談を受けており、どのような態度をとれば相手を効果的に動かせるのか、調停委員を味方につけやすいのかなどを把握しています。
離婚調停を申し立てられて離婚したくない場合にも、一度弁護士に相談してみると良いでしょう。

ただしすべての弁護士が修復へ向けたアドバイスを積極的に行っているわけではありません。修復したいなら、「離婚したくない」といったご相談にも親身な態度で接してくれる弁護士を探しましょう。離婚問題に日頃から積極的に取り組んでいる弁護士であれば、そういった対応をとってくれる可能性が高いでしょう。

11.弁護士に依頼するメリット

離婚したくない場合に弁護士に離婚調停を依頼するとどのようなメリットがあるのか、お伝えします。

11-1.調停に同席してもらえて安心できる

まずは弁護士に調停に同席してもらって、さまざまな意見を言ってもらえることが挙げられます。
自分1人ではどうしても感情的になって相手を責めてしまう場合でも、弁護士が代弁すれば今の状況や本当の気持ち、希望をうまく伝えやすいでしょう。

11-2.調停委員を味方につけやすい

弁護士がついていると弁護士がいない場合よりも調停委員を味方につけやすくなります。調停委員としても、法律の専門家から理屈の通った主張をされると納得しやすいものだからです。途中までは自分1人で調停に取り組んでいる場合、弁護士をつけると調停委員の態度が変わるケースも少なくありません。
調停で流れが悪くなっていると感じるなら、早めに弁護士に依頼すると良いでしょう。

11-3.離婚原因があるかどうかがわかる

離婚調停でどのような対応をとるべきかは、離婚原因があるかどうかで大きく変わってきます。しかし自分で離婚原因の有無を正確把握するのは難しいでしょう。
弁護士であれば離婚原因があるかどうかの判断ができます。離婚原因があるかどうかわからない場合にも弁護士へ相談してみましょう。

DUONでは離婚案件に力を入れて取り組んでおり、日頃から多くの離婚相談をお受けしています。「離婚したくない」という方からのご相談にも対応しています。離婚したくないのに離婚調停を申し立てられてお困りの場合、お気軽にご相談ください。

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