養育費の増額は可能?15歳の節目や年収変化で増額するための条件と調停の手続きを解説

離婚時に取り決めた養育費。しかし、子どもの成長とともに増える教育費や、ご自身の収入減など、状況は刻一刻と変化します。

「月々の養育費だけでは正直厳しい」「子どもが15歳になったら、養育費は増額できるの?」といったお悩みや疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

一度合意した養育費でも、後から増額を求めることは法的に可能です。しかし、そのためには一定の条件を満たし、適切な手続きを踏む必要があります。

この記事では、養育費の増額が認められる具体的なケース、15歳という節目での注意点、増額をスムーズに進めるための調停手続き、そして増額が認められない失敗例まで、専門的な視点から詳しく解説します。養育費の増額でお悩みの方は、ぜひご一読ください。

目次

1. 一度決めた養育費の増額が認められる具体的なケースとは?

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離婚の際に、当事者間の話し合い(協議)や調停、公正証書などで一度養育費の金額を決めた場合、その合意には法的な拘束力が生じるため、どちらかが一方的に内容を変更することはできません。

しかし、養育費の支払いは長期間にわたることが多く、合意したときには予測できなかった事情の変化が起こることも少なくありません。そのため、法律では「事情の変更」があった場合には、養育費の増額または減額を請求することが認められています。

具体的に、養育費の増額が認められやすい「事情の変更」とは、主に以下のようなケースが挙げられます。

■子どもの進学や病気による支出の増加

  • 子どもが私立の学校に進学した、大学に入学したなどで教育費が増えた
  • 子どもが大きな病気やケガをして、高額な治療費が必要になった

■養育費を受け取る側(権利者)の収入の減少

  • 権利者が病気やケガ、リストラなどで失職し、収入が大幅に減った

■養育費を支払う側(義務者)の収入の増加

  • 義務者が昇進や転職により、離婚時よりも収入が大幅に増えた

■物価の変動

  • 合意時から相当な期間が経過し、物価が著しく上昇した。

これらの事情は、あくまで一例です。重要なのは、当初の取り決め時には予測できなかった、かつ、その取り決めを維持することが不公平といえるほどの大きな変化があったかどうかという点です。家庭裁判所は、このような事情の変更があった場合に、双方の収入や生活状況などを総合的に考慮して、増額の妥当性を判断します。

2. 「15歳になったら増額」自動的には増額されない・注意すべきポイント

「子どもが15歳になると、養育費は増額される」という話を耳にしたことがあるかもしれません。これは、家庭裁判所が養育費の目安を算出するために用いる「養育費算定表」が、子どもの年齢を「0~14歳」と「15~19歳」で区分していることに由来します。

たしかに、15歳以上の子どもの方が生活費や教育費がかかるため、算定表上は養育費が高くなる傾向にあります。

しかし、子どもが15歳になったからといって、養育費が自動的に増額されるわけではありません。

あくまで増額を求めるための「事情の変更」の一つとして考慮されるに過ぎないのです。ここでは、15歳という節目に関して特に注意すべきポイントを解説します。

算定表上の区分が変わるだけでは不十分な場合

単に子どもが15歳になったという理由だけでは、増額が認められない可能性があります。特に、離婚時に将来の教育費の増加を見越して養育費の金額を決めていた場合などは、「15歳になることは当初から予測できたこと」と判断され、事情の変更とは認められにくい傾向があります。

公正証書に「15歳以降の増額」を盛り込んでいない場合 離婚時に作成した公正証書や合意書に、「子どもが15歳に達したら〇万円に増額する」といった具体的な取り決めがない場合、自動的に増額されることはありません。

このような取り決めがない場合は、改めて相手方と増額について話し合うか、家庭裁判所に調停を申し立てる必要があります。もちろん、公正証書で金額が固定されていても、前述したような予期せぬ事情の変更があれば、増額請求は可能です。

大学進学と20歳以降の支払い期間延長

高校卒業後、子どもが大学に進学すると、学費や一人暮らしの生活費などでさらにお金がかかります。養育費の支払いは、原則として子どもが成人するまでとされますが、現在の民法では成年年齢は18歳です。

しかし、成年年齢が引き下げられたからといって、直ちに養育費の支払いが18歳で終了するわけではありません。

裁判例では、両親の学歴や収入、子どもの希望などを考慮し、大学卒業まで(多くは「22歳に達した後の最初の3月まで」)の養育費の支払いを認めるケースが増えています。特に、離婚時に父親または母親が大学進学を了解していた場合や、両親ともに大学を卒業していて、子どもにも進学を期待できる状況であった場合などは、支払い期間の延長や学費負担が認められやすくなります。

養育費の支払いについては、以下の関連記事もご参照ください。

養育費の支払いはいつまで?支払い義務がなくなる年齢・時効・養育費の決め方まで解説
養育費に学費はどこまで含まれる?塾・習い事・高校/大学の授業料/入学金などの養育費の決め方を解説

再婚等の影響

養育費を受け取る側(権利者)が再婚し、子どもが再婚相手と養子縁組をした場合、第一次的な扶養義務は養親に移ります。そのため、実の親(義務者)が支払う養育費は、大幅に減額されたり、免除されたりする可能性があります。

養子縁組をしていなくても、再婚相手の収入によって世帯収入が増えたと見なされ、増額請求が認められにくくなることもあります。

逆に、養育費を支払う側(義務者)が再婚して新たな子どもが生まれた場合、扶養家族が増えるため、養育費の「減額」を求められる可能性もあります。再婚は、養育費の増額・減額の双方に影響を与える重要な「事情の変更」となり得ます。

3. 養育費の増額が「認められない」主な理由と失敗例

養育費の増額を請求しても、必ず認められるわけではありません。ここでは、増額請求が認められなかった実際の裁判例や、主な理由について解説します。

事情の変更が軽微であると判断されたケース

ある裁判例では、養育費を受け取る側の生活が特に困窮しているわけではなく、子どもが学齢期に達して教育費が「多少増加する」程度では、法的に意味のある「事情の変更」には当たらないと判断されました。

物価の上昇や子どもの成長に伴う支出の増加はある程度予測できる範囲内と見なされ、増額請求が認められませんでした。

当初の合意内容や経緯が重視されたケース

別の裁判例では、養育費の支払いを「子どもが18歳に達するまで」と合意していました。その後、子どもが大学に進学することになりましたが、その間に支払う側が再婚して新たな子どもが生まれるなどの事情の変化があったにもかかわらず、18歳まで合意通りに養育費を支払い続けていた経緯がありました。

こうした状況から、裁判所は、当初の合意を超えて支払い期間を延長すべき事情の変更はなかったと判断しました。

権利者(受け取る側)の収入が増加したケース

離婚後に権利者が再就職や転職によって安定した高収入を得るようになった場合、増額の必要性がないと判断されることがあります。

増額請求は、あくまで子どもの生活を維持するために必要な場合に認められるものであり、権利者の生活を豊かにするためのものではないからです。

これらの失敗例からわかるように、養育費の増額を成功させるためには、「当初予測できなかった、やむを得ない事情」によって、「現在の養育費のままでは子どもの生活水準を維持するのが困難である」ということを具体的に主張・立証する必要があります。

4. 増額をスムーズに進めるための「調停」の手順と流れ

養育費の増額を希望する場合、まずは相手方と直接話し合う「協議」から始めるのが一般的です。

しかし、感情的な対立から話し合いがうまくいかなかったり、相手が話し合いに全く応じてくれなかったりすることも少なくありません。そのような場合は、家庭裁判所に「養育費増額請求調停」を申し立てることになります。

調停についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
養育費調停とは?聞かれること・相手が来ない場合|減額調停・請求調停についても解説

養育費調停の基本的な流れ

調停手続きの基本的な流れは以下の通りです。

①協議から開始

まずは相手方に養育費の増額を希望する旨を伝えます。口頭だけでなく、後々の証拠となるよう、内容証明郵便などを利用して書面で申し入れることも有効です。ここで双方が合意できれば、合意書を作成して完了です。トラブル防止のため、公正証書にしておくことをお勧めします。

②養育費増額請求調停の申立て

協議がまとまらない場合、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所に調停を申し立てます。申立てには、申立書や当事者の戸籍謄本、収入に関する資料などが必要です。

③調停期日

申立て後、約1~2か月で第1回の調停期日が指定されます。調停は、裁判官と民間の有識者から選ばれた調停委員2名が間に入り、当事者双方から交互に話を聞く形で進められます。当事者が直接顔を合わせることは基本的にありません。調停委員は、双方の事情や提出された資料を基に、解決案を提示するなどして合意形成を目指します。

④調停成立または不成立(審判へ移行)

話し合いがまとまり、双方が合意すれば「調停成立」となり、合意内容を記載した「調停調書」が作成されます。調停調書は、確定判決と同じ強い効力(債務名義)を持ち、相手が支払いを怠った場合は強制執行が可能です。どうしても合意に至らない場合は「調停不成立」となり、手続きは自動的に「審判」に移行します。審判では、裁判官が一切の事情を考慮して、増額の可否や金額を決定します。

増額の必要性を示す証拠の集め方

調停や審判を有利に進めるためには、なぜ増額が必要なのかを客観的な証拠で示すことが極めて重要です。具体的には、以下のような資料を準備しましょう。

・自分の収入に関する資料

給与明細、源泉徴収票、確定申告書、非課税証明書など

・支出の増加を示す資料

子どもの学費の請求書・領収書、塾や習い事の月謝の明細、医療費の領収書など

・相手の収入に関する資料

離婚時の源泉徴収票など

相手が現在の収入資料の提出を拒むことも考えられます。しかし、近年の法改正により、家庭裁判所は当事者に対して収入や資産に関する情報の開示を命じる「情報開示命令」を出すことができるようになりました。正当な理由なくこの命令に従わない場合、10万円以下の過料(行政上の罰金のようなもの)が科されることもあり、相手に資料提出を促す強力な手段となります。

5. よくある質問(Q&A)

ここでは、養育費の増額についてよくある質問にお答えします。

Q1. 離婚時に「今後一切、養育費の増減額は請求しない」と約束してしまいました。もう増額は無理ですか?

いいえ、諦める必要はありません。たとえ当事者間で将来の増減額請求をしないという合意(「不増減の特約」といいます)があったとしても、その合意をしたときには予測できなかったような著しい事情の変更があった場合には、その合意の効力が制限され、増額請求が認められる可能性があります。

子どもの権利を守るという養育費の性質上、一度の合意が子どもの将来を永続的に縛ることは妥当ではないと考えられているためです。

Q2. 相手が再婚しました。養育費は増額できますか?

相手(支払義務者)の再婚は、必ずしも増額の理由になるとは限りません。むしろ、再婚相手に収入がなかったり、再婚相手との間に子どもが生まれたりした場合、相手の扶養家族が増えることになるため、養育費の「減額」を求められる可能性の方が高いです。

ただし、再婚相手が高収入で、相手の生活に経済的な余裕が生まれたといった特別な事情があれば、増額が認められる可能性もゼロではありません。個別の状況によるため、専門家である弁護士に相談することをお勧めします。

Q3. 相手が転職して収入が上がったはずですが、教えてくれません。どうすればいいですか?

まずは話し合いで任意に開示を求めるのが第一歩ですが、応じない場合は、家庭裁判所に養育費増額請求調停を申し立てるのが有効です。調停やそれに続く審判の手続きでは、裁判所が相手に対して収入資料(源泉徴収票や確定申告書など)の提出を促します。

それでも相手が提出を拒む場合、裁判所が「情報開示命令」を出すことができます。正当な理由なくこれに従わないと過料の制裁が科される可能性があるため、相手にプレッシャーをかけ、情報開示を促す効果が期待できます。

Q4. 大学の入学金など、一時的に大きな費用がかかる場合も増額の対象になりますか?

はい、対象になります。大学の入学金や、病気・けがによる手術費用など、毎月の養育費とは別に一時的に発生する多額の費用は「特別費用」と呼ばれます。

離婚時の取り決めに特別費用の分担に関する条項がなくても、「事情の変更」として、相手方に負担を求めることが可能です。月々の養育費の増額とは別に、かかった費用のうち一定割合を支払うよう請求するのが一般的です。

6. 養育費の増額の可能性を高めたいのであれば弁護士に相談を

養育費の増額請求は、ご自身で行うことも可能です。

しかし、法的な知識や交渉のノウハウがなければ、相手に言いくるめられてしまったり、手続きが思うように進まなかったりするケースも少なくありません。養育費増額の可能性を少しでも高めたいのであれば、離婚問題に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士に依頼する主なメリットは以下の通りです。

・相手方との直接交渉による精神的負担の軽減

元配偶者と金銭の話をすることに、大きなストレスを感じる方は少なくありません。弁護士が代理人として窓口になることで、相手と直接やり取りする必要がなくなり、精神的な負担が大幅に軽減されます。感情的な対立を避け、冷静かつ論理的に交渉を進めることができます。

・最新の算定基準に基づいた適正な増額幅の算出

養育費の算定は、算定表を基本としつつも、個別の事情を様々に考慮する必要があり、専門的な知識が求められます。特に、相手が高収入である場合などは、算定表だけでは適切な金額が出せないこともあります。弁護士であれば、最新の裁判例や算定基準に基づき、あなたの状況に応じた適正な増額幅を算出し、説得力のある主張を展開できます。
関連記事:「年収2000万円を超える場合の養育費・婚姻費用や財産分与について弁護士が解説

・相手の隠れた収入(副業や資産)を追及するノウハウ

相手が収入を正直に申告しない場合、弁護士は法的な手続きを駆使して財産調査を行います。調停・審判での「情報開示命令」の申立てはもちろん、弁護士会照会(弁護士のみが行える調査方法)や、強制執行の段階では「財産開示手続」「第三者からの情報取得手続」などを活用し、相手の勤務先や預貯金口座などを特定することが可能です。これにより、相手が隠している収入や資産を明らかにし、正当な養育費を確保する可能性が高まります。

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  • 子どもの進学や病気で、教育費や医療費の負担が重くなってきた方
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  • 相手が収入を正確に教えてくれず、交渉が進まない方
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